蛍といえば夏の風物詩、
と考えている方も多いと思います。
確かに、夏の夜半、幽玄な光を携えながら
ふわふわと舞い踊る蛍の姿は大変風流なものです。
その、儚く柔らかい光は遥か昔から
日本人の感性を刺激してきたらしく、
和歌や俳句など、1000年以上前から
日本人は蛍と親しんできました。
ただ、蛍には色々な種類があり、
それぞれ光り方が違うということは
あまり知られていません。
そこでここでは、
蛍の種類とその見分け方について
まとめていきましょう。
そもそも蛍とは? 光らない蛍もいる!
参照: https://www.pakutaso.com/
私たちは通常、
光って黒い虫のことを蛍と呼びますが、
実は発光しない蛍も存在しています。
また、蛍といえば日本の文化に根差している虫、
と考えている方も多いかもしれませんが、
実は世界中の蛍のうち、日本に生息している蛍は
ほんのごく一部にすぎません。
具体的には、
世界中の蛍の数が2000種類に対し、
日本の蛍は40種類前後となっています。
また、蛍といえば、日本においては
夏の風物詩といえるかもしれませんが、
種類によっては秋まで発光したり、
あるいは真冬に発光したりするものもいるのです。
また、発光する蛍に関して、
多くの人は成虫をイメージするかもしれません。
ところが、実際には成虫が発光するよりも
幼虫が発光する種類のほうが多いのです。
なお、蛍の幼虫は他の変態する虫と同様
芋虫のような見た目で、成虫とは似ても似つきません。
さらに蛍は成虫になるのですが、
その際、蛹に変化することも知られています。
また、種類によっては蛹も発光したりするようです。
このように、
蛍は身近なようでいてそうではありません。
そこで以下では、
知っているようで知らない蛍の種類について、
いくつか取り上げて紹介しましょう。
蛍の種類と見分け方: ゲンジボタル
参照: https://www.youtube.com/
日本において、
単純に「蛍」といった場合、
この蛍を示すことが多い、
というほど有名な種類です。
日本にしか生息していない種類で、
大きさは10mmから18mm程度でかなり大きく、
強く光り輝くのが特徴的だといえるでしょう。
本州、四国、九州など、
日本中の幅広い場所で見ることのできる種類で、
大量に発生する場所は観光地として有名です。
光が他の蛍よりも大きく、光る感覚も長いので、
見分けるのは難しくありません。
成虫の姿で見分ける場合は、
黒い背中と、四角い体型で判断するといいでしょう。
なお、名前についている「ゲンジ」の名前の由来は諸説あり、
源平合戦の発端となった以仁王の挙兵の際、
負けて討ち死にした源頼政の無念が蛍に例えられたことから
こう呼ばれるようになったという説がひとつです。
そしてもうひとつは、「源氏物語」の中に登場する
「光源氏」が蛍のように光り輝く、という描写からきた、
という説がもうひとつあります。
蛍の種類と見分け方: ヘイケボタル
参照: https://www.youtube.com/
ヘイケボタルは、
ゲンジホタルと並んで
有名な蛍の種類です。
ゲンジとヘイケの由来はもちろん
源平合戦を争った源氏と平家のことで、
「ゲンジボタルよりも小さい」ことから、
源平合戦で負けた平家になぞらえて
こう呼ばれているようです。
ただ、名前の由来については諸説あり、
明確な語源はわかっていません。
ただ、ゲンジホタルとは異なって日本以外にも生息しており、
日本以外にも、シベリア地方、朝鮮半島、中国などにも
生息が確認されています。
体長はゲンジホタルと比べると小さく、
加えて、光り方も1秒前後で点滅しながら、
揺れるように飛び回ります。
その姿はどこか怪談などの
人魂を彷彿させるといわれており、
滅亡した平家になぞらえて
話されることも少なくありません。
見た目で見分ける場合は、
全体的に丸みを帯びた形と、前胸の黒い斑点が
「1」の形をしていることから見分けましょう。
蛍の種類と見分け方: ヒメボタル
参照: http://www.tokyo-hotaru.com/
ヒメボタルは、
上述した二種類ほどの知名度はないものの、
それに次ぐ日本の蛍です。
生息域は本州、四国、九州、屋久島で、
高山から町の中まで、多様な場所に生息しています。
有名なのは名古屋城の外堀に繁殖しているヒメボタルで、
夏の風物詩として地元の人や観光客に親しまれています。
体長はヘイケボタルと同様小さいのですが、
大きな特徴として胸のあたりに黒い半円形の模様、
および背中の黒色が特徴的です。
光り方はほぼ一秒間隔で、
さながらフラッシュのように光ります。
こちらの蛍も他の種類と同様に、
夏あたりに活性化し、
その綺麗な光り方で風物詩となっています。
蛍の種類と見分け方: オオマドホタル
参照: https://www.youtube.com/
オオマドホタルは、
日本においても大型の蛍です。
サイズはおおよそゲンジホタルと同様ですが、
メスの成虫が飛ばない、という点で大きく異なります。
生息地は本州、四国、九州と日本の南側に分布しており、
陸上が生息域です。
なお、この蛍は全く光らないので、
観察することはなかなか難しいでしょう。
見た目は羽根に、名前の由来でもある
「窓」のような薄い膜がある点から把握可能です。
加えて、前胸の背中部分に
紅い斑点があるのが見分け方になります。
同種の「クロマドホタル」とはよく似てはいますが、
前述したように、赤い斑点を見ることで見分けることが可能です。
蛍の種類と見分け方:ムネクリイロボタル
参照: http://www.hotaru-museum.jp/
分布は本州、四国、九州で、
幅広い環境に適応して生活しています。
ムネクリイロの名前の通り、
胸のあたりが栗色、ないしは茶色である点が
最も大きな特徴です。
サイズはヘイケボタルや
ヒメホタルと同程度で、緑地で目をこらせば、
見ることができるでしょう。
発光の仕方は持続的で
ゆっくりとした光を放ちます。
ゲンジホタルほどあでやかではなく、
ヒメホタルほど活発に光らないため、
ぼんやりとした光になるのが注目点です。
なお、ムネクリイロという名前の割には
局所的に前胸部分が黒色になっている個体も
存在しています。
他の種類にもいえますが、
蛍は地域によって微妙な差異を
生じさせることが多いようです。
蛍の種類と見分け方: カタモンミナミボタル
参照: http://www.ishidashiki.sakura.ne.jp/
日本に存在する蛍の中でも、
最小の種類がこのカタモンミナミホタルです。
名前の由来はおおよそ「肩」にあたる部分に
茶色の「紋様」があるからだといわれています。
そのため、見た目で判断する場合は簡単で、
特徴的な紋様とそのサイズを比べれば、
簡単に判別することが可能です。
分布は「ミナミ」という名前の割には
四国、九州に限らず、本州の幅広い場所で確認することができます。
発光は一応はしますが、
発光するところを見るのは難しいでしょう。
なぜなら、この蛍は長らく発光しないとされていた
種類だからです。
一応、発光機関は備えられているものの、
その小ささから残滓か何かだと思われていました。
ところが、2007年夏に発光することが確認され、
蛍の研究に携わる人を驚かせたようです。
そのときの光はほんの微かなもので、
識別するのも難しいものだったことが報告されています。
もし発光する所を発見できたのなら、
すごく良いことがあるかもしれませんね。
蛍の種類と見分け方: オバホタル
参照: https://www.youtube.com/
オバボタルは、
全国的に見ることのできる蛍の一種です。
分布はおおよそ
沖縄を除くほぼ日本全国で、
北海道から九州まで、普遍的に見ることができます。
体長は7mm~10mm前後で、
ゲンジボタルとヘイケホタルの中間の
ような印象を受けるでしょう。
見た目は黒い体に
赤い胸部分と、
蛍のイメージに忠実な姿をしていますが、
他の蛍と比べると、少々偏平な見た目が
特徴的ですね。
一応はぼんやりと光るのですが、
遠目からではほとんど光を確認することができないほど
儚い光なので、
蛍を観察しに来て、この蛍を見つけるのは難しいかもしれません。
なお、この種類にはよく似た近縁種の
「オオオバボタル」が存在しています。
こちらは「オオ」の名前の通り
体長が13mm以上と大きく、また、
前胸の飯店がより鮮やかなのが特徴的です。
近縁種ではあるものの、
その生活環がオバボタルとは大きく異なっており、
オオオバボタルは主にで、オバボタルは多様な場所で
見ることができるという点で違いがあります。
また、オオオバボタルは日本の蛍で唯一、
幼虫が腐食した木の中で成長するという特徴を持っています。
オオオバボタルも発光しないといわれていましたが、
こちらも2002年に発光が記録されているようです。
蛍の種類と見分け方:スジグロボタル
参照: http://photozou.jp/
スジグロボタルは、
見た目に鮮やかな紅色が特徴的な蛍です。
日本全国に幅広く分布しており、
北海道から奄美大島まで見ることができます。
基本的に水辺でのみ生きることが可能で、
水から出しておくと死んでしまうようです。
そのため、観察するときは
水辺を調べる必要があります。
基本的には発光しませんが、
羽化をした一瞬の時のみ発光するので、
もしこの蛍が発光するときを見ることができたのなら、
かなりラッキーだといっていいでしょう。
言うまでもないかもしれませんが、
この蛍の見分け方はその鮮やかな模様です。
映える鮮烈な赤色と、
名前の通り一本筋の黒色が特徴的なので、
虫が見つかれば、見間違うことはないでしょう。
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本記事では日本に生息する
代表的な蛍についてまとめましたが、
一般的にいって光る蛍は「ゲンジボタル」
「ヘイケボタル」「ヒメボタル」の三種類です。
この三種類の見分け方を知っていれば、
基本的に蛍に関する知識は十分だと思いますよ。
以上、『蛍の種類って?日本にいるホタルの光り方や特徴、生息地や見分け方を画像で紹介!』の記事でした。