沢山の課題が出る夏休みの宿題の中でも
多くの人がてこずるものといえば読書感想文でしょうが
原稿用紙を見つめるだけで文字がなかなか埋まらないという
中学生、高校生の皆さんも少なくないかもしれませんね。
特に、新学期も迫っていてほかの宿題も溜まっている状況では
読書に割ける時間も限られていている上、
どんな風に読書感想文を書けばよいのか思いつかない
となるとそのプレッシャーもかなりのものだと思います。
という事で今回は、
サクサクっと読書感想文を仕上げるための書き方のコツを
中学生、高校生向けの読書感想文におすすめの純文学の短編、
芥川龍之介の『蜜柑』と森鴎外の『高瀬舟』を例に使って
具体的にご紹介していきたいと思います。
上記の2作品で読書感想文を書く人は勿論、
他の作品にも応用できる書き方のコツを
わかり易く紹介しますのでぜひ参考にしてみてくださいね。
芥川龍之介『蜜柑』の読書感想文の書き方をご紹介!
では先ず、芥川龍之介の『蜜柑』から詳しく見ていきますが
文庫版でも10ページ足らずの超短編小説なので
短時間で読書感想文を終わらせたいなら最適の作品ですよ。
『蜜柑』は龍之介が海軍機関学校で教師をしていた頃の
自身の体験を元に書かれた作品といわれていて、
「私」が横須賀発の上り列車の中で偶然出くわした光景が
作品の題材になっています。
龍之介が27歳の時に発表された初期の作品ですが、
日常の何気ない一コマを描写と「私」の気持ちの変遷が
シンプルにまとめられていて読書感想文にもおすすめです。
因みに『蜜柑』は上記の『地獄変』に収録されており、
あとがきや解説等も読書感想文の書き方の参考になるので
ぜひ詳細を確認の上、ご購入下さいね。
●読書感想文の書き方ではキーワードを見つけよう!
https://youtu.be/H1kAvsjmufk
参照元URL:https://youtu.be/H1kAvsjmufk
読書感想文の書き方では、
話のキーワードをいち早く見つけ
それに注目して自分の感じた事、考えた事を書いていくのが
サクサク進めるポイントになります。
『蜜柑』でのキーワードは、題名の蜜柑もそうですが
主人公が感じている「云いようのない疲労と倦怠」
というのが、作品全体に漂う雰囲気を象徴する言葉です。
また、作品の後半で、同じ車両に乗り合わせた田舎娘が
蜜柑を窓から投げるのを見た後、主人公の気持ちが変化する
「得体のしれない朗な気持ち」という部分も
この作品を理解する上で重要なポイントになりますね。
中学生、高校生の読書感想文では、
物語のポイントを要領よく捉えることも大切なので
「倦怠感と疲労」→「蜜柑」→「朗な気持ち」
という全体の流れを象徴するキーワードを踏まえ
自分の考えをまとめていく書き方をしていきましょう。
因みに、上の動画では『蜜柑』の朗読を聞けるので
参考にして頂ければと思いますが、
ぜひ活字でも読んで読書感想文を仕上げてくださいね。
●読書感想文の書き方ではあらすじと感想をバランスよく!
参照元URL:http://www.wallpaperup.com/u
中学生、高校生の読書感想文では
作品のあらすじはポイントを押さえてシンプルにまとめ
だらだら書き続けない事も途中で行き詰まることなく
読書感想文をスムーズに仕上げる書き方のポイントです。
『蜜柑』の場合は、冒頭の駅の描写から憂鬱な雰囲気が漂い
主人公は云いようのない疲労と倦怠を感じているうえに、
後から乗り込んできた若い娘に対しても批判的という
否定的で陰鬱な雰囲気で話が始まりますよね。
なので、読書感想文では先ずそこまでを一区切りとして、
主人公がうら寂しい駅の風景や檻に入れられた子犬が
自分の心持ちに似つかわしいと言っていることを絡め
「あまり幸せではないのかもしれない」
「何か心の中に欝々としたものがあるのかもしれない」
といった主人公の立場を想像してみるといいですね。
更に、若い娘が蜜柑を車窓から投げた場面に続けて
主人公の気持ちに変化があった箇所についても同様に、
あらすじ→感想という風に読書感想文を進めていくという
書き方をしてみてください。
●読書感想文の書き方では作品の核を掘り下げる!
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中学生、高校生の読書感想文では
原稿用紙4枚前後の長さの文章を書くのが一般的ですが
核となる部分に焦点を当て原稿用紙1枚分位を割いて
そのテーマついて深く掘り下げる書き方もおすすめです。
『蜜柑』を例にすると、この話の核となるのは
若い娘が見送りの弟たちに車窓から蜜柑を投げるのを見て
主人公の中で娘への評価が嫌悪から好感へと変わる
という部分な訳ですが、ぜひ想像をたくましくして
その理由について自分の考えを詳しく書いてみてください。
主人公は最初、三等切符で二等車両にうっかり乗車するような
無作法であか抜けない田舎娘を冷めた目で観察していますが
弟たちを思いやる彼女の素朴な優しさを目の当たりにした事で
得も言われぬ優しい気持ちになるわけです。
もし仮に、身なりの良い人物の善意に遭遇したとしても
主人公はそれほど感じ入らなかったかもしれませんが、
自分が見下していた娘の優しい善意の心に触れ
下等だと思っていたものの中に美しく高邁なものを発見し
その事で少し前向きな気持ちになれたのかもしれませんね。
そんな風に、中学生、高校生の読書感想文では
話の核となるトピックについてあれこれと想像を巡らせ
自分の想像を書くことが評価される読書感想文につながるので
ぜひ書き方の参考にしてみてください。
●読書感想文の書き方では同じ作家の他作品との比較を!
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中学生、高校生の読書感想文の書き方では
同じ作家の他の作品と自分が読んだ作品を比較してみる
というのもとても良い切り口でおすすめの書き方です。
例えば『蜜柑』の作者である芥川龍之介は
『蜘蛛の糸』『鼻』『羅生門』等の代表作がありますが
多くに共通するのが道徳観がテーマになっているという事で
多少、説教臭い読後感が無きにしも非ずなんです。
それをどう受け取るかは人それぞれですが、
『蜜柑』では相変わらずの上から目線ながらも、
作者の好意的な視線で話が締めくくられていて、
その辺の作者の心情に対して好感が持てる
という風な書き方を読書感想文ですることもできますね。
中学生や高校生なら、読んだ本の感想だけでなく
そんな風にいろいろな視点から作品を多角的にとらえ
独自の視点で読書感想文を書くとすらすら最後まで書けますよ。
森鴎外『高瀬舟』の読書感想文の書き方をご紹介!
さてここからは、森鴎外の『高瀬舟』を例にして
引き続き中学生と高校生の読書感想文の書き方について
ポイントを詳しくご紹介していきたいと思います。
『蜜柑』同様、秀作の短編である『高瀬舟』は
弟殺しの咎で島流しになる罪人と役人の対話という形で
人間の欲望や幸せの定義、そして安楽死といった
現代の社会にも通じる事象がテーマになった短編です。
京都から高瀬川を下って大阪まで護送される罪人、喜助と
奉行所の役人である庄兵衛の船上での対話を描いたこの作品は
文庫本十数ページの短い作品ですが、
内容的にはとても深く読書感想文の題材にもぴったりですよ。
尚、『高瀬舟』の収録されている森鴎外の短編集は
上記からお買い求めになれますので、ぜひこの機会に
明治の文豪の格調高い文学作品に触れてみてくださいね。
読書感想の書き方では作品の雰囲気の印象も!
参照元URL:https://youtu.be/97aYJwfAXCs
この話の前半部分では高瀬舟の役割についての説明の後
「知恩院の桜が入相の金に散る春の夕べ」という一節があり
視覚的かつ抒情的なとても美しい描写になっていますよね。
中学生、高校生の読書感想文を書く上では
ストーリーについての感想を書くことも重要ですが
作品全体に漂う印象についてもある程度触れておくと
広がりのある感想になりおすすめの書き方のアプローチです。
『高瀬舟』では、今まさに島流しになろうとしている喜助の
罪人には似つかわしくない幸せな表情と穏やかな春の夕べ、
という描写が美しくも悲しい雰囲気を作品全体に与えていて
そこが読書感想文でも書き方の一つのポイントになります。
上の動画では『高瀬舟』の情景が趣深いタッチで描かれていて
作品全体の印象を自分の中で捉えるのに役立つと思いますので
ぜひ参考にご覧になってみてくださいね。
また、本文の朗読の動画も以下に貼っていますので
併せてご覧頂ければと思いますが、森鴎外の美しい文体は
ぜひ本を手に取り活字としても楽しんで見て下さいね。
参照元URL:https://youtu.be/nPh-27LnLtI
読書感想文の書き方では実体験を絡める!
参照元URL:http://www.wallpaperup.com/
先に触れたように『高瀬舟』のテーマの一つは
庄兵衛と喜助の人生を対比する形で示される
人間の欲や幸福というものの定義についてなのですが、
これは誰でも自分自身の身に置き換えやすいテーマですよね。
中学生、高校生の読書感想文なら特に、
本で触れた事柄を自分はこれまでどんな風に捉えていたかや
読書後にその考え方に変化はあったか、何を考えさせられたか等
深く掘り下げるという書き方もおすすめです。
現状に満足できず、更に多くを求めてしまう人の性は
誰でも持っている人間の本質的な部分ですが
物質的により多くを所有するものが
必ずしも幸福とは限らないというのは深いですよね。
とはいえ、中学生、高校生の年代なら、
今ある物にただ感謝して満足するという考え方に
物足りなさを感じるのも事実でしょうから
人間の欲と幸福に触れつつ、自分はどんな風に生きたいか
という事についても読書感想文で言及してもいいでしょう。
読書感想文の書き方では疑問や否定的見解もok!
参照元URL:http://free-photos-ls01.gatag.net/
さて『高瀬舟』のもう一つのテーマは、
自殺を図って死にきれなかった弟を楽にしてやるため
手にかけるのは殺人かという所謂、安楽死についてですが
これは現代も見解が分かれるデリケートな問題ですよね。
この物語の舞台は江戸時代の京都ですが、
参考までにいうと、現代、同じ事件が起こったとしても
情状酌量の余地があり実刑は免れるかもしれませんが
恐らく喜助は承諾殺人罪に問われる可能性が高く罪は罪なんです。
とはいえ、安楽死を安易に奨励するのは倫理的に問題点も多く
奉行所の判断が間違いかというと、そんな単純な話でもないですよね。
ただ、弟が苦しみながらゆっくりと死んでいく様子を
目の当たりにした時、それを一刻も早く終わらせてやりたい
と願うのも罪とは言い切れないものもあります。
という事で、この作品の読書感想文では、
綺麗に答えや自分の考えを述べられなくても
自分の感じた事をありのまま
疑問は疑問として率直に言及するという書き方もよいでしょう。
読書感想文の書き方では作者の経歴にも注目する!
参照元URL:http://yoshim.cocolog-nifty.com/
中学生、高校生の読書感想文では、
読んだ作品の内容だけでなく作者の経歴にも着目し
それがどのように作品に反映されているかという
アプローチも大変おすすめです。
『高瀬舟』の作者、森鴎外は、自身が軍医であったため
人の生死に深く関わりあう立場にあったと推測でき
エリート中のエリートであったことから、
更に官民でいえば、官に身を置いていた人物でもあります。
そんな彼の作品が、公的立場にある奉行所の同心よりも
社会の底辺で生きてきた喜助を幸福なものと捉えている事に
作者のどのような意図や考えが反映されているかというのは
とても興味深いですよね。
森鴎外は代々、医者の家系に生まれた東大医学部卒の
エリートですが、ドイツ留学中に現地女性と恋愛経験になり
それを題材に『舞姫』を執筆するなどなかなか興味深い
人物でもあります。
もし時間に余裕があれば、森鴎外の略歴等も調べて
そこから見えてくる彼の人間像を絡めながら
読書感想文を書き進めていくのも面白い切り口になりおすすめの書き方ですよ。
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という事で、中学生や高校生の読書感想文の書き方について
短編の名作である芥川龍之介の『蜜柑』と森鴎外の『高瀬舟』を
例に取り上げながらご紹介してきましたが、いかがでしたか?
中学生、高校生の皆さんは、
休み中は宿題以外にも色々と多忙なことでしょうから
読書感想文の課題をサクサクっとこなして
有意義に休暇を過ごしてくださいね。
以上『読書感想文の書き方!中学生や高校生が使える感想文は?』の記事でした。